Letter

地球:対流するマントル中での希ガスの保存

Nature 459, 7246 doi: 10.1038/nature08018

多くの海洋島で得られた試料で3He/4He比が高いことは、下部マントルにあり、3He濃度が高く、本質的に脱ガスしていない貯蔵庫に起因するとされることが多い。40Kの放射壊変で生成される40Arのうち、大気と上部マントルによって説明することができるものは半分にすぎないため、ほとんど脱ガスしていない大規模なマントル貯蔵庫は、地球の40Ar収支を釣り合わせるためにも必要とされる。しかし、地球物理学的および地球化学的観測からは、スラブは下部マントルにまで沈み込んでおり、地球のマントルの大部分あるいはすべては、大洋中央海嶺とホットスポット火山の下で部分溶融処理を受けている可能性が示唆されている。これにより、上部および下部マントルは大幅に脱ガスしたはずであるが、これは、3He/4He比と地球の40Ar収支から予測されることとは相いれない。本論文では、この問題を簡単に説明できる説を示す。すなわち、希ガスが枯渇したスラブの再循環と混合によってマントル中の希ガス濃度が希釈され、そのためにマントルの脱ガス速度が低下し、処理されたマントル中に大量の希ガスが残るというものである。その結果として、660 kmの地震学的不連続面を、地球史を通じて通過していく質量流束が下部マントル全体の質量とほぼ等しいとしても、高い3He含有量、高い3He/4He比、地球の40Arの質量収支を満たすのに十分高い40Ar濃度を下部マントル中に維持できる。大洋中央海嶺玄武岩と海洋島玄武岩の3He/4He比の相違や、海洋島玄武岩のマントル生成源で3Heと40Arの濃度が高いことも、上部マントルと下部マントルで処理速度が異なるという枠組みの中で説明できる。したがって、始源的な希ガスの特徴を保存するために、隠れた貯蔵庫や、下部マントルが短時間であっても対流的に孤立していたと考える必要はないことがわかった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度