Letter

細胞:有糸分裂終了の不可逆性は、システムレベルのフィードバックによるものである

Nature 459, 7246 doi: 10.1038/nature07984

真核細胞の細胞周期は、S期の染色体複製から有糸分裂での染色体分離に至る一連の順序だった事象から成り立っており、これらの事象は、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)の働きによって調整されている。この細胞周期がうまく完了するには、細胞周期が一方向にのみ進むことが必須である。重要な細胞周期調節因子がタンパク質分解されると元に戻せなくなるため、これが細胞周期の進行を不可逆的にして、一方向性を実現していると考えられている。今回我々は、有糸分裂終了の不可逆性、すなわち有糸分裂Cdkの高活性状態からG1期低活性状態への移行の不可逆性に、サイクリンのタンパク質分解が寄与しているかどうかを検証した。有糸分裂期の出芽酵母細胞でサイクリンを強制的に分解させると、有糸分裂終了過程が効率よく進められることが明らかになった。しかし、サイクリンのタンパク質分解の終了後も、この進行は可逆的で、有糸分裂状態とサイクリンレベルが回復する。有糸分裂の終了が不可逆になるのは、長期にわたってサイクリン分解が起こった後だけで、これは、Cdk阻害因子Sic1がかかわる二重の負のフィードバックループが活性化されることによる。定量的モデル作製により、フィードバックは、Cdk活性を低く保ちサイクリンの再合成を防ぐために必要なことが示唆された。この知見は、有糸分裂終了の一方向性は、タンパク質分解の結果ではなく、細胞周期を新しい安定状態に維持するのに必要なシステムレベルのフィードバックによることを実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度