Letter 細胞:細菌はインテグリンリンクドキナーゼを乗っ取って接着斑を安定化して細胞の剥離を妨げる 2009年5月28日 Nature 459, 7246 doi: 10.1038/nature07952 粘膜上皮細胞の急速な代謝回転と剥離は、先天的に備わった細菌感染防御システムとなっている。しかし赤痢菌をはじめとする多くの病原細菌は、上皮細胞の剥離をものともせず、上皮に効率よく定着する。今回我々は、B群赤痢菌Shigella flexneriのエフェクターOspE(OspE1タンパク質とOspE2タンパク質からなる)が、宿主細胞のインテグリンリンクドキナーゼ(ILK)への結合によって、宿主細胞の基底膜への接着を強化していることを明らかにした。このOspEは、腸管病原性大腸菌、腸管出血性大腸菌、Citrobacter rodentium、サルモネラ属菌の間で、よく保存されている。ILKとOspEの結合により、膜分画のILKが増加するとともに、細胞表面の接着斑の数が増加した。ILKとOspEの結合は、細胞表面のβ1インテグリン量を増やし、細胞運動の際に接着斑が急速に代謝回転するために必要な接着斑キナーゼ(FAK)とパキシリンのリン酸化が抑制された。OspEの発現により、ノコダゾール処理による接着斑の分解が阻害される。ospE遺伝子をもたない赤痢菌変異株が感染した極性上皮細胞では、野生型赤痢菌感染細胞に比べて、細胞の剥離が迅速に起こった。モルモットの大腸に赤痢菌を感染させたところ、上皮細胞の剥離抑制、細胞から細胞への赤痢菌感染拡大および赤痢菌の定着促進に、OspEとILKの結合が極めて重要な役割を果たしていることが裏付けられた。これらの結果は、赤痢菌が感染細胞の剥離を防ぐ特殊な戦略を使って感染の足場を維持していることを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る