Letter 細胞:TRAILが誘導するアポトーシスにみられる細胞間の多様性の非遺伝的起源 2009年5月21日 Nature 459, 7245 doi: 10.1038/nature08012 微生物では、遺伝子発現のノイズが、細胞間のタンパク質濃度の差異を生じさせる。哺乳類細胞でも、やはりタンパク質レベルはさまざまで、均一な生理的刺激に対しても個々の細胞で応答性に大幅な違いがある。TRAIL(tumour necrosis factor(TNF)-related apoptosis-inducing ligand)がかかわるアポトーシスの場合、1つのクローン集団の中で、一部の細胞は死ぬがほかの細胞は生き残るのが一般的であり、細胞の運命に非常に大きな違いが出る。死ぬ細胞では、TRAIL暴露からカスパーゼの活性化までの時間に大きなばらつきがある。今回我々は、TRAIL暴露後に起こるカスパーゼ活性化とミトコンドリア外膜の透過性亢進のレポーター遺伝子を発現する姉妹細胞群の画像解析を行った。ヒト細胞系列で細胞死のタイミングと確率が細胞によって違う主な原因は、受容体を介したアポトーシスを調節するタンパク質の量や状態に自然に生じる差異であることが明らかになった。タンパク質の状態は母細胞から娘細胞へと引き継がれるので、細胞の運命には一時的な遺伝性が生じるが、タンパク合成によって急激に違いが大きくなるため、姉妹細胞であってもすぐに互いに似通った状態ではなくなり、ランダムに選んだ細胞どうしと変わらなくなる。今回の結果は、化学療法後の腫瘍細胞の部分的殺滅(fractional killing)や、哺乳類に一般的にみられるシグナル伝達の変動を理解するうえで、大きな意味をもつ。 Full Text PDF 目次へ戻る