Letter 海洋:北太平洋南北鉛直循環の内側経路 2009年5月14日 Nature 459, 7244 doi: 10.1038/nature07979 自然の、また人為起源の強制力に応答して地球の気候がどのように変動するかを解明するには、熱と二酸化炭素の巨大な貯蔵庫である全球海洋全体にわたって、気候変動のシグナルが伝播する速度と経路を確定することが不可欠である。亜寒帯北大西洋外洋の対流によって形成されるラブラドル海水(LSW)は、数年から数十年の時間スケールでの気候変動の、特に鋭敏な指標である。北大西洋の西の境界に沿って行われる海洋観測では、どの場所でも、深層西岸境界流(DWBC)内の中層部を南に移流するLSWの中心部がみられる。この観測結果から、LSWの北大西洋北部の形成水域から赤道へ向かう移動の主要な経路はDWBCであると広く考えられるようになった。本論文では、亜熱帯水域に入る最近流出したLSWの大部分は、DWBCではなく、内側の経路に沿って流れていることを示す。この内側の経路は、2003〜2005年の期間に放流された海面下のRAFOSフロート(水温、水圧と音波で決められる位置を2年間にわたって1日1回記録した)の軌跡と、亜寒帯域DWBCへの放流をモデルによってシミュレートした「e-フロート」の軌跡によって明らかになった。この証拠から、グランド・バンクス周辺のいくつかの特定の地点が示され、LSWはこれらの地点から最も頻繁に内側域へ入り込む。今回の結果は、海洋の深層鉛直循環と関係があり、大西洋南北鉛直循環を検討する際には、内部の亜熱帯循環を考慮に入れるべきであることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る