Letter 医学:新規抗マラリア化学種として二重の機能をもつアクリドンの発見 2009年5月14日 Nature 459, 7244 doi: 10.1038/nature07937 薬剤耐性出現の防止と遅延は、抗マラリア薬開発の最も重要な目標の1つである。単剤療法や非常に変異しやすい薬剤標的はそれぞれ耐性出現を促進し、これらは共に多剤耐性マラリアに対する有効な長期的戦略としては望ましくない。ヘムは、寄生虫ゲノムによってコードされておらず、またキノリンやその他の多くの薬剤の場合のように、寄生虫の生存に重要なヘモグロビン分解時の無毒化を薬剤-ヘム相互作用によって覆すことができるため、ずっと変わらない扱いやすい標的である。今回我々は、アクリドンのヘムを標的とする性質と、キノリン系抗マラリア薬に対する耐性を相殺するような化学感受性を与える成分とを併せもつ、新しい抗マラリア化学種について報告する。我々の最初のリード化合物であるT3.5(3-クロロ-6-(2-ジエチルアミノ-エトキシ)-10-(2-ジエチルアミノ-エチル)-アクリドン)は、有効性の高い抗マラリア薬候補が共通して備えている重要な性質(全感受性および多剤耐性熱帯熱マラリア原虫に対するin vitroでの高い効力、in vivoでの経口投与後の有効性と安全性、安価な合成そして好ましい物理化学的性質)のほかに、独特の相乗的特性を示す。キノリン耐性寄生虫でのクロロキンおよびアモジアキンへの「ベラパミルに似た」化学増感に加えて、T3.5は、見かけ上作用機序が異なる、キニーネやピペラキンとの相乗効果も生じる。キノリン感受性およびキノリン耐性寄生虫の両方でみられるこの相乗効果は、in vitroとin vivoの両方で証明された。要約すると、この革新的アクリドンの設計は、アクリドン固有の効力と耐性に対抗する機能とが1つの分子の中に統合されており、有効な抗マラリア薬の組み合わせを増やし、強化し、持続させるための新たな戦略となる。 Full Text PDF 目次へ戻る