Letter 医学:自閉症の2歳児は生物学的運動よりも非社会的な偶発現象に注目する 2009年5月14日 Nature 459, 7244 doi: 10.1038/nature07868 基準的な成長をしている乳児は、誕生後数日以内に生物学的運動を選択的に注視するようになる。この能力は種を越えて進化的に高度に保存されており、子としての親への愛着や、捕食者の察知に極めて重要と考えられている。生物学的運動を知覚する際の神経的基礎となる領域は、顔の表情や視線の方向などの基本的な社会的シグナルの知覚に関与する脳領域と重なっており、生物学的運動への選択的な注目は、他人の意図をくみ取る能力の前段階と考えられている。しかし我々は、思いがけない観察により、最近、自閉症の乳児は光点で示される生物学的運動を認識しないが、その代わりに、この刺激中に偶然生じる非社会的な物理的偶発現象に極めて敏感であることを見いだした。この知見から、自閉症の小児では、極めて早い年齢で生物学的運動に対する知覚が変化しており、その結果、社会的発達と、自閉症スペクトラム障害の顕著な特徴である生涯に及ぶ社会的相互作用の障害の双方に、段階的に影響を与えている可能性が高まった。今回我々は、自閉症の2歳児は光点で示される生物学的運動には注目しないこと、こうした子どもでの光点を見る際の視行動は、非社会的な物理的偶発現象に対する反応として説明できることを示す。対照群の小児は、この非社会的な物理的偶発現象に注意を払わない。この結果は、自閉症における脳特殊化の特異な神経発達過程を理解する上で、大きな意味をもつ。 Full Text PDF 目次へ戻る