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細胞:ハイプシンを含むタンパク質eIF5Aは翻訳の伸長を促進する

Nature 459, 7243 doi: 10.1038/nature08034

翻訳伸長因子は、リボソームによるタンパク質合成を促進する。これまでの研究では、普遍的に保存されている転写因子が2つ同定されている。細菌ではEF-TuとEF-G(真核生物ではeEF1AとeEF2とよばれる)で、それぞれ、アミノアシルtRNAをリボソームに運ぶ働きと、リボソームの転位を促進する働きをする。eIF5Aという因子(出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)ではHYP2ANB1遺伝子がコードする)は真核生物と古細菌だけにみられるタンパク質で、通常とは異なるアミノ酸ハイプシン(Nε-(4-アミノ-2-ヒドロキシブチル)リシン)を含み、最初は、メチオニルピューロマイシン合成の収量(エンドポイント)を高める作用をもつことで同定された。このメチオニルピューロマイシン合成は、1つ目のペプチド結合形成を調べるモデルアッセイで、翻訳開始の特定段階の状況を示すと考えられている。ハイプシンは、eIF5Aがリボソームに結合し、メチオニルピューロマイシンの合成を促進するのに必要である。eIF5Aは翻訳開始の初期段階は促進せず、また酵母でeIF5Aを欠乏させてもタンパク質合成はそれほど阻害されないので、eIF5Aの働きは1つ目のペプチド結合形成の促進に限られているか、eIF5Aが機能する対象が細胞の一部のメッセンジャーRNAに限られているのだろうとみられている。しかし、eIF5Aが細胞で果たす正確な役割は未解明であり、またeIF5Aは、ナンセンス変異を介したmRNA分解経路などのmRNA分解や核-細胞質間輸送とも関連があるとされている。今回我々は、分子遺伝学研究と生化学研究によって、eIF5Aが翻訳における伸長を促すことを明らかにする。出芽酵母でeIF5Aを枯渇あるいは不活性化すると、ポリソームが蓄積し、リボソームの通過時間が長くなる。in vitro実験で酵母由来の組み換えeIF5Aを加えると、トリペプチド合成速度が増すが、ハイプシンを含まない誘導体を加えてもそれは起こらない。また、eIF5Aの不活性化の結果がeEF2阻害剤ソルダリンの作用に似ていることから、eIF5AはeEF2と協同してリボソームの転位を促進している可能性がある。eIF5Aは細菌タンパク質EF-Pと類似構造をもつことから、eIF5A/EF-Pは普遍的に保存された翻訳伸長因子であると考えられる。

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