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神経:HDAC2は記憶の形成とシナプス可塑性を負に調節する

Nature 459, 7243 doi: 10.1038/nature07925

クロマチン修飾、中でもヒストン尾部のアセチル化は、記憶の形成に関係するとされてきた。ヒストンデアセチラーゼの阻害剤(HDACi)によりヒストン尾部のアセチル化が増加すると、野生型マウスでも神経変性疾患のマウスモデルでも、学習と記憶が促進される。HDACiの治療能を活かすには、HDACファミリーの中で認知機能の強化にかかわる特異的な酵素を知る必要がある。今回我々は、HDAC2のニューロン特異的な過剰発現によって樹状突起棘の密度、シナプス数が減少し、シナプス可塑性、記憶形成が低下するが、HDAC1の過剰発現ではこれが起こらないことを明らかにする。マウスで、これとは逆にHdac2を欠失させると、HDACi長期投与の場合と同様に、シナプス数が増加し、記憶形成が促進される。注目すべきことに、HDAC2過剰発現マウスにみられるシナプス数減少と学習障害は、HDACiの長期投与によって改善される。これに対応して、Hdac2欠失マウスでは、HDACi投与を行ってもそれ以上記憶形成は改善されない。さらに、プロモーターへの結合状況の解析によって、HDAC2がシナプス可塑性と記憶形成にかかわるとされる遺伝子のプロモーターに結合することが明らかになった。これらを総合すると、HDAC2はシナプス可塑性と神経回路の長期にわたる変化を調節する働きをし、この長期変化が学習と記憶を負に調節することが示唆される。これらの観察結果は、記憶障害を伴うヒトの病気のためのHDAC2選択的阻害剤の開発と検証を促進するだろう。

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