Letter 進化:カバの島嶼矮化およびHomo floresiensisでの脳小型化に対するモデル 2009年5月7日 Nature 459, 7243 doi: 10.1038/nature07922 哺乳動物の個体発生では、脳および感覚器の成長が体のそのほかの部分に先立って完了するため、体のサイズが小型化しても、脳はそれほど小型化しないのが普通である。これに基づけば、「小型系統」は「巨大型系統」に比べて、相対的な脳サイズが大きくなると考えられる。しかし、この傾向については、島嶼の哺乳動物の矮化の特別な事例で疑問が投げかけられている。今回我々は、マダガスカルの絶滅した矮性カバ種の頭蓋内容量が、アフリカ大陸祖先種をそれと同程度の体重に換算した場合の頭蓋内容量に比べて最大30%小さいことを明らかにする。この結果は、脳の大きさが体の大きさに対して指数0.35の割合で縮小するという矮化の種内「個体発生後期」モデルによる予測値よりも、大幅に脳が小型化していることを示している。今回観察された比率の変化または勾配変化の特性は、脳サイズに対する選択圧が体サイズに対する選択圧と無関係である可能性を示している。本研究は、島嶼の矮性哺乳動物では、大陸祖先種の種内スケーリングに基づく矮化モデルから予測されるよりも著しく小さい脳への進化が機構的に可能であることを、実証的に明らかにしている。今回の知見は、哺乳動物の脳と体の相対成長関係に関する現在の説明に疑問を呈し、小さい脳サイズが矮化の過程によっておおむね説明できる可能性を示唆している。この過程は、フローレス島(インドネシア)で発見された脳の小さな人類の解釈にも関係してくる。 Full Text PDF 目次へ戻る