Letter 神経:複合小胞融合は素量サイズを増大しシナプス伝達を増強する 2009年5月7日 Nature 459, 7243 doi: 10.1038/nature07860 シナプスにおけるエキソサイトーシスには、小胞と細胞膜の融合を必要とする。リボン型のシナプスでは小胞間の複合融合が起こると考えられているが、通常のシナプスでも複合融合が起こるのかどうか、またその機構や役割がどういうものなのかは明らかでない。今回我々は、ラットとマウスの通常の活性帯を有する神経終末に複合融合が存在すること、およびその機構と役割について報告する。高カリウム投与および高頻度発火によって、通常より大きな小胞のエキソサイトーシスを示すキャパシタンスの大規模な階段状上昇が引き起こされ、それに続いて大量のエンドサイトーシスを示す大規模な階段状減少が起きた。これらの強烈な刺激によって誘導された巨大な小胞様構造が電子顕微鏡で観察され、より多量の神経伝達物質の放出を示す巨大な微小興奮性後シナプス電流(mEPSC)も誘導された。これらの大規模な現象には、カルシウムおよび小胞融合のためのカルシウムセンサーであるシナプトタグミンが必要であった。高頻度発火後、カルシウム/シナプトタグミン依存性のmEPSCサイズの増大は、カルシウム/シナプトタグミン依存性の反復刺激後増強と相関していた。以上の結果は、3段階からなるエキソサイトーシスとエンドサイトーシスの新たな経路を示唆している。第一段階は、カルシウム/シナプトタグミンが仲介する小胞間の複合融合である。第二段階では、複合小胞のエキソサイトーシスが素量サイズを増大し、これがシナプス強度を増加して反復刺激後増強の発生に寄与する。第三段階で、エキソサイトーシスにより放出された複合小胞が大規模なエンドサイトーシスによって回収される。この小胞サイクリング経路は、小胞の細胞膜との融合だけが考慮されてきたシナプスモデルに含まれるべきだと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る