Letter 環境:中国の陸上生態系の炭素収支 2009年4月23日 Nature 458, 7241 doi: 10.1038/nature07944 1980年代から1990年代にかけて、地球の陸上生態系は1〜4 Pg yr−1の速度で炭素を吸収し、化石燃料からの放出量の10〜60パーセントを相殺していた。しかし、陸上の炭素供給源と炭素シンクの地域的なパターンと起源はまだ明らかになっていない。全球的な炭素循環の地域的局面に関する科学的および政治的な関心が高まる中、中国の炭素収支を明らかにしようとする動きが活発になっている。これは、中国が世界最大の人口を抱えていて化石燃料由来のCO2の大気への放出量も世界最大であるというばかりでなく、土地利用の来歴や気候の傾向(両者ともに生態系の炭素収支を支配している)が各地で異なっているためでもある。今回我々は、衛星を用いた植生観測によって推定したバイオマスと土壌の炭素保有量、生態系モデル、大気の逆転という3種類の方法を用いて、中国の陸上炭素収支の現状および1980年代から1990年代にかけてそれを駆動していた機構を分析した。この3種類の方法により、毎年0.19〜0.26 Pg炭素(PgC)の正味の炭素シンクという近似した推定値が得られた。これは、同程度の面積をもつ米国本土を下回るが、地理学的ヨーロッパと同等である。中国北東部は、森林の過剰な伐採と破壊により、大気に対する正味のCO2供給源となっていることがわかった。逆に、中国南部は炭素シンクの65パーセント以上を占めているが、これは地域的な気候変動、1980年代から推進されている大規模な植林計画、および低木の回復によるものと考えられる。低木の回復は、炭素シンクに寄与する要因の中で最も不確かなものであることがわかった。今回のデータおよびモデルで得られた結果を総合すると、中国の陸上生態系は、1980年代から1990年代にかけて、積算化石炭素放出量の28〜37パーセントを吸収したことが示された。 Full Text PDF 目次へ戻る