Letter 生理:神経のグロビンの天然の差異が、野生型線虫の酸素感知を調整する 2009年4月23日 Nature 458, 7241 doi: 10.1038/nature07820 行動は自然選択の繰り返しにより進化するが、それにかかわる分子機構や神経機構については、ほとんどわかっていない。今回我々は、野生型線虫(Caenorhabditis elegans)の一部に、周囲の酸素のわずかな変化に応答して、2種類の餌探索行動の切り替えを行うものがいることを明らかにする。この微調整された切り替えは、少しずつ違いのある天然の六配位グロビンGLB-5によって起こる。GLB-5は、別種の酸素結合タンパク質である非定型可溶性グアニル酸シクラーゼ類と共に働いて、酸素感知ニューロンのダイナミックレンジを、大気中の酸素濃度(21%)付近になるように調整している。カルシウム画像化により、これらのニューロンの中に、酸素濃度が21%へと上昇するときに活性化され、21%以下に下がると阻害される一群があることがわかった。高濃度の酸素がニューロンを活性化するには可溶性グアニル酸シクラーゼGCY-35が必要で、GLB-5は、酸素濃度が21%以下に下がったときに阻害シグナルを入力する。これらの酸素結合タンパク質が協同して、ニューロンや行動の応答する酸素濃度幅を、大気中の酸素濃度に近い狭い範囲に収まるように調整している。酸素感知や餌探索行動に対するglb-5遺伝子の作用は、天然にわずかずつの違いをもつ神経ペプチド受容体npr-1によって、さらに変化する。これらの知見は、多遺伝子におけるわずかな差異が神経回路の機能を作り直す仕組みについての手がかりとなるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る