Letter 発生:ドーパミンニューロン分化の遺伝子制御の論理 2009年4月16日 Nature 458, 7240 doi: 10.1038/nature07929 ドーパミンシグナル伝達は多岐にわたる複雑な行動を制御しており、ドーパミンニューロンの機能や生存に欠陥があると、パーキンソン病などの重篤なヒト疾患の原因となる。すべてのドーパミンニューロンにみられる共通点は、ドーパミンの生合成と輸送にかかわる系統発生的に保存されたタンパク質群をコードする、ドーパミン経路遺伝子群の発現である。ドーパミン経路遺伝子を直接活性化し、それによって最終的にドーパミンニューロンの独自性を決定する遺伝子制御機構については、これまでに調べられてきたどの系でもほとんどわかっていない。本研究では、線虫(Caenorhabditis elegans)において、単純なシス制御配列であるドーパミン(DA)モチーフが、すべてのドーパミン作動性細胞種でのすべてのドーパミン経路遺伝子の発現を制御することを示す。DAモチーフは、ETS転写因子AST-1によって活性化される。ast-1が欠失すると、ドーパミン作動性ニューロンの各サブタイプすべてで最終分化が完了しない。ast-1の異所的発現は、いくつかの細胞状況下でドーパミン経路を活性化するのに十分である。脊椎動物のドーパミン経路遺伝子にも、マウスのETS転写因子Etv1(別名ER81)によって活性化できる系統発生的に保存されたDAモチーフがあり、Etv1欠失マウスではドーパミンニューロンの特定クラスは分化を完了できない。さらに、初代培養ニューロンでのEtv1の異所的な発現は、ドーパミン作動性ニューロンへの分化運命を示すマーカーの発現を誘導する。またマウスのEtv1は、C. elegansでast-1の代わりに機能することができる。我々の研究は、ドーパミンニューロンの最終分化について、進化的に保存されているようにみえる単純な制御論理を示しており、ドーパミンニューロンに欠陥のある病態の診断法や治療法を探る新たな糸口となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る