Letter

物理:バリスティックスピン共鳴

Nature 458, 7240 doi: 10.1038/nature07873

スピン共鳴の現象は70年前に発見されて以来、広範な影響を及ぼしてきた。高周波磁場に駆動される電子スピン共鳴は、我々の量子力学に関する理解を深め、医学から量子情報まで多様な分野で利用されている。スピン共鳴はまた、スピン-軌道相互作用がある物質では高周波電場によっても起こすことができる。この場合、電子の振動が運動量に依存した有効磁場を発生させ、この磁場が電子スピンに作用する。本論文では、外部駆動磁場を必要としない、スピン-軌道相互作用から生じる電子スピン共鳴について報告する。我々がバリスティックスピン共鳴と名付けたこの効果は、二次元電子ガスのマイクロメートルスケールのチャネル中で数十ギガヘルツの周波数で跳ね返る電子の自由運動から生じる。これは、スピン共鳴では実験的に到達するのが困難な周波数領域であり、チップ上では特に難しい。この共鳴は純粋なスピン流を電気測定した場合に現れ、振動するスピン-軌道磁場が静磁場中でスピン歳差と共鳴するとき、スピン緩和長が強く減少するのが観察される。これらの知見は、スピン-軌道相互作用をスピントロニクス回路のスピン操作で制御する仕組みを明らかにしており、また、バリスティックナノ構造で外部交流磁場がなくてもゲートにより調整可能なコヒーレントスピン回転を起こす方法を示している。

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