Letter 生化学:インフルエンザウイルスポリメラーゼのキャップスナッチング・エンドヌクレアーゼは、PAサブユニットに存在する 2009年4月16日 Nature 458, 7240 doi: 10.1038/nature07745 インフルエンザウイルスのポリメラーゼは、PA、PB1、PB2の3つのサブユニットからなるヘテロ三量体で、ウイルス感染細胞中でウイルスRNAゲノムの8つに分かれた領域の複製と転写を行う。このポリメラーゼは、独特な「キャップスナッチング(cap-snatching)」機構によって細胞の転写産物からキャップをもつ短いプライマーを作製し、これを使ってウイルスメッセンジャーRNAを合成する。PB2サブユニットが宿主のmRNA前駆体の5′キャップに結合し、その後、ウイルスエンドヌクレアーゼがキャップから10〜13ヌクレオチドのところを切断する。このエンドヌクレアーゼはこれまで、PB2サブユニットかPB1サブユニットに存在すると考えられていた。今回我々は生化学研究および構造研究により、このエンドヌクレアーゼの活性部位がPAサブユニットのアミノ末端側209残基に含まれることを明らかにする。このドメインには、マンガンイオンで強く活性化される内在性のRNA、DNAエンドヌクレアーゼ活性があり、完全な三量体ポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性の既知の特徴と一致する。また、このエンドヌクレアーゼ活性は、インフルエンザウイルスのエンドヌクレアーゼの阻害剤として知られる2,4-ジオキソ-4-フェニルブタン酸によって阻害される。PAドメインの結晶構造から、リゾルベースやII型制限エンドヌクレアーゼによく似たコア構造が明らかになった。活性部位はインフルエンザウイルスすべてで保存されている1個のヒスチジン残基と集まった3個の酸性残基からなり、これらが2個のマンガンイオンと結合し、その立体配置は金属イオン2個を必要とするほかのエンドヌクレアーゼとよく似ている。活性部位の2個の残基が変異すると、ポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性が特異的に失われることは、既に知られている。これらの結果は、新しい抗インフルエンザ薬となる可能性のあるエンドヌクレアーゼ阻害剤の最適化を促進するだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る