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地球:大酸化事変前に起きた海洋ニッケルの減少とメタン細菌の飢餓

Nature 458, 7239 doi: 10.1038/nature07858

約24億年前に起きた大気中酸素濃度の漸増、いわゆる大酸化事変の引き金になったのは、大気中のメタン濃度の低下であることが示唆されている。陸上硫化物の酸化的風化、海洋硫酸塩の増加、そして生態環境中でメタン細菌よりも硫化物を還元する微生物が優勢となったことが、メタンの急激な減少の原因となりうると考えられてきたが、この説明は岩石記録と一致させることが難しい。縞状鉄鉱層には先カンブリア時代の海洋元素存在度の歴史が保持されており、初期の微生物とそれらが地球システムの進化に与える影響を解明する手がかりとなる。本論文では、約27億年前の縞状鉄鉱層に記録されたニッケルの鉄に対するモル比の低下について報告する。その原因は、その時点で上部マントルの温度が下がり、ニッケルに富んだ超苦鉄質岩の噴出が減少した結果、海洋へのニッケルの流出が減ったためである、と我々は考える。先カンブリア時代模擬海水とさまざまな鉄水酸化物との間のニッケル分配係数を測定したところ、始生代のほとんどの時代を通じてニッケルの溶存濃度は約400 nMに達していたが、25億年前までには約200 nM以下に低下し、約5億5,000万年前までに現在の値(約9 nM)になった可能性があることを見いだした。ニッケルはメタン細菌のいくつかの酵素にとって重要な金属補因子であり、その減少によって古代海洋におけるメタン細菌の活動が抑制され、生物起源メタンの供給が途絶したと考えられる。したがって、生物起源メタン生成の減少は環境の酸化が進む前から起きていた可能性があり、酸素生成と関連しているとはかぎらない。メタン細菌が酵素を介して、供給が減少しつつある火山性のニッケルに依存していたことが、マントルの進化と大気の酸化還元状態を結びつけている。

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