Letter 細胞:c-MycによるmiR-23a/bの抑制が、ミトコンドリアのグルタミナーゼ発現とグルタミン代謝を亢進させる 2009年4月9日 Nature 458, 7239 doi: 10.1038/nature07823 がん細胞にみられるグルコース代謝の変化は、ワールブルク効果とよばれる。すなわち、ほとんどのがん細胞では、グルコースの取り込みが大幅に増え、酸素が使えるにもかかわらず、主として乳酸へと変換される傾向がある。がん細胞は、このワールブルク効果を新たに利用するようになっているにもかかわらず、ミトコンドリアの代謝機能、特にグルタミンを分解してATPと乳酸を生産するグルタミノリシスにも依存し続ける。グルタミンは、がん細胞における生合成のための重要なエネルギー源、窒素源であり、同化過程の炭素基質でもあって、増殖中の細胞に大量に取り込まれるが、グルタミン代謝の調節については詳しく解明されていない。今回我々は、発がん性転写因子c-Myc(マイクロRNAを調節し、細胞増殖を促すことが知られている。以下ではMycとする)がmiR-23aとmiR-23bの転写を抑制し、その結果、これらのマイクロRNAの標的であるミトコンドリアのグルタミナーゼの発現が増加することを、ヒトP-493 Bリンパ腫細胞とPC3前立腺がん細胞で明らかにする。これによってグルタミン異化反応が促進される。グルタミナーゼがグルタミンをグルタミン酸に変換すると、このグルタミン酸が、ATP生産のためにトリカルボン酸回路で代謝されたり、グルタチオン合成の基質に使われたりする。Mycによるこの独特なグルタミナーゼ調節機構から、MycによるmiRNAの調節、グルタミン代謝、エネルギーと活性酸素種の恒常性の間に、これまで知られていなかった意外な関係があることが明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る