Letter 物性:磁気トンネル接合における起電力および極めて大きな磁気抵抗効果 2009年3月26日 Nature 458, 7237 doi: 10.1038/nature07879 ファラデーの法則によって予測される起電力は、デバイスや回路を流れる電子の電荷(−e)に作用する力を反映しており、磁場の時間微分に比例する。この従来の起電力は、[定常回路や静磁場では通常は]現れない。一方、電子のスピンに作用する力もあり、一部が磁性材料で構成される回路では、静磁場であってもスピンに起因する起電力が発生することが、最近理論的に予測された。この起電力は、静磁場における磁区の動きなど、ホスト材料の磁化の時間変化に起因しうるものであり、磁気エネルギーが電気エネルギーに変換されることを表している。今回我々は、閃亜鉛鉱型構造のMnAs量子ナノ磁性体を含む磁気トンネル接合で、スピンに起因する起電力を静磁場によって実際に誘起できることを示す。観測された起電力は、およそ102〜103秒のタイムスケールで働く。この起電力は、超常磁性MnAsナノ磁性体で磁気量子トンネリングが起こったときに、この磁性体の磁気エネルギーが電気エネルギーに変換されることによって生じる。その結果、特定のバイアス電圧で最高100,000パーセントという極めて大きな磁気抵抗効果が観測されている。我々の結果は、磁性ナノ構造体における[スピンのみ]に起因する力を説明するためにファラデーの電磁誘導の法則を一般化しなければならないという考え方を強く支持する。今回の極めて大きな磁気抵抗効果と起電力は、高感度磁気センサーや、「スピン電池」などの新しいアクティブデバイスに応用できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る