Letter

宇宙:星形成過程における複数の長さスケールでの自己重力の役割

Nature 457, 7225 doi: 10.1038/nature07609

自己重力は星形成の最終段階、すなわち分子雲内部の高密度コア(大きさはおよそ0.1パーセク)が収縮し、星と円盤の系を形成する段階で重要な役割を担う。しかし、もっと早い時期に(またおよそ1パーセク程度のさらに大きなスケールで)自己重力が果たす役割は明らかでない。自己重力を含めずに行われたいくつかの分子雲シミュレーションでは、星の初期の質量関数によく似ていて、かつその質量関数を決める高密度コアの質量分布を作り出すのには、「乱流分裂」のみで十分であることが示唆されている。本論文では、「系統樹」(階層的な樹状図)解析により、L1448分子雲中で13COの観測によって追跡可能なスケールの全範囲にわたり、自己重力が重要な役割を果たしているが、観測領域すべてについてではないことを明らかにしたことを報告する。特に、ダストの放射ピークによって追跡したコンパクトな「星形成前のコア」の90パーセント以上は、天球上で系統樹の自己重力「葉」の1つの範囲内に投影される。これらのピークは、既に形成途上にある星、あるいは形成間近と思われる星の位置を示しているため、自己重力コクーン(cocoonと呼ばれる繭状の領域)が、それらの存在に関する重要な条件であるらしい。自己重力のない場合の乱流分裂のシミュレーション(磁化していない等温物質のシミュレーションでも)からは、L1448のようなガス雲で観測されるのとよく似た質量と速度のパワースペクトルが得られる。しかし、このようなシミュレーションの系統樹では、その中のほとんどすべてのガス(観測にみられるもの以上の)が自己重力をもつようにみえる。「自己重力がない」場合のシミュレーションで、重力の役割が重要な意味をもっている可能性があることから、シミュレーションの仮定と結果には矛盾があり、サブパーセクスケールの星形成過程の現実的なシミュレーションには、どのような場合でも自己重力を含める必要があることが示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度