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行動進化学:間接互恵性の下でコストを伴う懲罰が効率的なのは限定的な場合のみである

Nature 457, 7225 doi: 10.1038/nature07601

間接互恵性は、人間の協力の進化にとって重要なメカニズムである。他人に対する行動は、その人が自分にしたことのみならず、その人が第三者に対してしたことによっても左右される。間接互恵性は評判を通じて作用する。間接互恵性の標準的なモデルは、協力か非協力かという二者択一を求めるものである。協力とは、提供者にとってのコストと受領者にとっての利益を意味する。非協力にはコストがかからず、利益ももたらさない。昨今、人間の行動にコストを伴う懲罰(もしくは利他的懲罰)が及ぼす影響に関する研究に大きな関心が寄せられている。懲罰とは、それを受ける人間にとってのコストを意味する。コストを伴う懲罰とは、懲罰を与える側もコストを払うことを指す。個人間のコストを伴う懲罰は協力を促進する可能性があることが示唆されている。今回我々は、間接互恵性の明示的モデルで、コストを伴う懲罰が果たす役割を検討した。我々は、提供者の行動および受領者の評判に依存するすべての社会規範を分析した。評判の割り当てには誤差を許容し、整合性を確立するメカニズムとしての噂も検討した。そして、協力を進化的に安定なものとするすべての戦略の特徴付けを行った。これらの戦略の中には、コストを伴う懲罰を利用するものと利用しないものがある。懲罰戦略は一般に、集団の平均的利得を低下させることが明らかになった。結果として、コストを伴う懲罰が効率的な均衡をもたらすパラメーター域はわずかしかない。多くの場合、集団はコストを伴う懲罰を利用しないほうが効率がよい。間接互恵性の効率的戦略とは、非協力者に懲罰を与えることではなく、協力を断ることである。

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