Letter 生化学:プロトン活性化型五量体リガンド依存性イオンチャネルのおそらく開状態と思われるものの構造 2009年1月1日 Nature 457, 7225 doi: 10.1038/nature07461 軟腐病菌Erwinia chrysanthemi由来の五量体リガンド依存性イオンチャネル(ELIC)のX線構造から、イオンチャネルのこのファミリーに関する高分解能の構造的知見が最近得られている。その構造からは、たる板構造をしたホモ五量体のタンパク質が、対称性の五回軸上に位置したイオン透過孔を作っていることがわかった。この構造は、5つのサブユニットの細胞外リガンド結合ドメインで囲まれた水を含む広い前庭が次第に狭まって、脂質二重層を貫通する不連続な小孔へと続いている。小孔は大きな疎水性残基により細胞外側が狭くなっており、これはおそらくイオンの拡散を防ぐ障壁として働いているのだろう。したがって、ELICのこのような遮断箇所のある小孔構造は、五量体リガンド依存性イオンチャネルの非透過状態のコンホメーションを表しており、結合したリガンドが存在しない熱動力学的に安定状態にあたる。このようなイオンチャネルでは、リガンド結合により開口が促進されるのだが、ELICに特異的なリガンドはまだ同定されていないので、我々はシアノバクテリアGloeobacter violaceus由来の相同なタンパク質(GLIC)に着目した。GLICは、細胞外部のpH低下により活性化され、活性化後に脱感作しないプロトン依存性チャネルを形成することが知られている。共に原核生物のタンパク質であるELICとGLICは、陰イオンではなく陽イオンに対して選択性を示すが、一価の陽イオンはあまり区別しないイオンチャネルを形成し、これは、アセチルコリンやセロトニンの受容体を含むファミリーの陽イオン選択性チャネルの透過特性に似ている。今回我々は、GLICの3.1 Å分解能でのX線構造を示す。その構造は、ELICとは異なるチャネルのコンホメーションを明らかにしており、これは開状態と似ているようである。まとめると、これら2つの構造は、小孔を形成するヘリックスの傾きの変化によりチャネルの開口が進むという、五量体リガンド依存性イオンチャネルの新たな開閉機構を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る