Letter 医学:1型糖尿病の発症における自然免疫と腸内細菌叢 2008年10月23日 Nature 455, 7216 doi: 10.1038/nature07336 1型糖尿病(T1D)は、T細胞がインスリン産生β細胞を破壊することで発症する、消耗性の自己免疫疾患である。先進国におけるこの病気の発症率が過去数十年間に増加していることは、ヒトがもつ微生物環境を含めた環境変化が疾患の病因に影響している可能性を示している。非肥満糖尿病(NOD)マウスにおける自然発症性T1Dの発症率は、飼育施設の微生物環境や、マイコバクテリウムあるいは各種の微生物製品の投与のような、微生物刺激への曝露によって影響を受けることがある。今回我々は、MyD88タンパク質(微生物刺激を認識する複数の自然免疫受容体に対するアダプター分子)欠損NODマウスで特定の病原体を含まないものは、T1Dを発症しないことを明らかにする。無菌のMyD88欠損NODマウスは強い糖尿病を発症するが、この無菌MyD88欠損NODマウスにヒトの腸内に通常存在する微生物門に相当する特定の微生物群を定着させるとT1Dが軽減するため、この作用は共生微生物に依存している。さらに、MyD88の欠損によって腸遠位部の微生物叢の構成が変化すること、また、特定の病原体を除去したMyD88欠損NODドナーマウスの微生物叢に無菌NODレシピエントマウスを曝露するとT1Dが軽減されることを示す。これらの知見は、腸内微生物と自然免疫系との相互作用が、T1Dの素因に影響を与える重大な後成的因子であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る