Letter 発生:傍分泌型Winglessシグナル伝達がショウジョウバエ消化管幹細胞の自己複製を制御する 2008年10月23日 Nature 455, 7216 doi: 10.1038/nature07329 ショウジョウバエ(Drosophila)の中腸では、上皮性基底膜に沿って散在する多分化能性消化管幹細胞(ISC)が絶えず娘細胞を生み出しており、その能力によって組織の恒常性が維持されている。生じた娘細胞はNotchの活性レベルに依存して、腸細胞か腸内分泌細胞に分化する。しかしながら、ISCの自己複製を制御する機構についてはまだわかっていない。本研究では、古典的Wntシグナル伝達経路によって、ISCの自己複製が制御されていることを示す。リガンドであるWingless(Wg)は、基底膜の薄い層を隔ててISCに隣接する輪走筋で発現する。wg機能の低下はISCの静止と分化を引き起こすが、wgの過剰発現はNotchリガンドのDeltaを高レベルで発現するISC様細胞を過剰に作り出す。クローン解析により、Wg経路の主要な下流構成要素であるFrizzled、Dishevelled、Armadilloなどが、ISCの自己複製に細胞自律的に必要とされることがわかった。さらにエピスタシス解析では、NotchはWg経路の下流で働き、Wg/Notchシグナル経路の階層構造がISCの自己複製と分化の間のバランスを制御することを示す。これらの結果から、基底にある輪走筋がISCニッチを形成し、ISCに直接作用するWgシグナルを産生してISCの自己複製を促進することが示唆される。本研究は、ショウジョウバエから哺乳類まで極めてよく保存されたISCの制御機構を明らかにするものである。ショウジョウバエのISCニッチとその主要な自己複製シグナルが同定できたことにより、消化管恒常性制御と腫瘍形成に関する理解がさらに進むであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る