Letter 植物科学:細胞周期阻害因子のSCFFBL17を介した分解による、植物生殖細胞系列の増殖制御 2008年10月23日 Nature 455, 7216 doi: 10.1038/nature07289 被子植物には、2個の精細胞による重複受精という独特な生殖戦略がある。植物の雄性生殖細胞系列は、動物のそれとは異なって減数分裂の後でしか形成されず、一倍体の小胞子が非対称分裂して、大型の非生殖系列細胞である栄養細胞1個と生殖細胞1個が作られ、この生殖細胞が後に分裂して2個の精細胞が生じる。精細胞の生産と輸送にはこの細胞周期制御の切り替えが不可欠だが、その基盤となる分子機構は解明されていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の新規F-ボックスタンパク質を同定し、FBL17(F-box-like 17)と命名した。FBL17は、雄性生殖細胞で特異的にサイクリン依存性キナーゼA;1阻害因子を標的として分解することによって、細胞周期制御の切り替えを可能にする。FBL17は非対称分裂後に雄性生殖系列で一時的に発現され、SCF(SKP1-Cullin1-F-box protein) E3ユビキチンリガーゼ複合体(SCFFBL17)を形成する。SCFFBL17は、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子KRP6とKRP7をプロテアソーム依存性の分解の標的にする。したがって、FBL17の機能が失われるとKRP6が安定化され、生殖細胞周期の進行が阻害される。今回の結果は、SCFFBL17が被子植物の2個の精細胞の形成と重複受精を促進する、雄性生殖細胞に不可欠な増殖複合体であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る