Letter

海洋:グリーンランド-スコットランド海嶺を越える越流の観測された安定性およびモデル実験での安定性

Nature 455, 7212 doi: 10.1038/nature07302

グリーンランド-スコットランド海嶺を越える、いわゆる「越流」という流れは、ノルディック海から大西洋へ向かう低温高密度水の連続的な流れである。この流れは、大西洋子午面循環底部の枝流に流れ込む「北大西洋深層水」形成の主な要因であり、大西洋子午面循環は気候変動の結果として弱まると予測されている。越流の2つの主要な枝流が、デンマーク海峡とフェロー堆の水路を通過している。本論文では、1995〜2005年にかけて行われたフェロー堆水路における流量の直接測定から得られた結果を、1948〜2005年の期間について海洋大循環モデルを用いて行われたアンサンブルhindcast(再現)実験と結びつけた。重複している期間について、月次的時間スケールから年次的時間スケールで、モデルによるシミュレーションと観測結果との間に説得力のある一致が見いだされた。観測結果とモデルデータは共に、輸送流量の有意な変化傾向は示していない。加えて、1948〜2005年の全期間については、フェロー堆水路の越流量、あるいは全越流輸送量の持続的な変化傾向はこのモデルではみられず、このことは入手可能ないくつかの過去の観測結果と一致している。ノルウエー海における等密度面の下降はグリーンランド-スコットランド海嶺の両側での圧力差を減少させる傾向があるが、これは海水準の変化の影響によって相殺されている。したがって、これまでの諸研究とは対照的に、フェロー堆水路の越流量、および全越流量は1950〜2005年にかけて一貫して減少していなかったと我々は結論するが、グリーンランド-スコットランド海嶺の南側における変化の結果として全大西洋南北鉛直循環が弱まっていることを、このモデルは確かに示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度