Letter 細胞:電子線トモグラフィーにより明らかになった上皮細胞を通過するFcRn介在性の抗体輸送 2008年9月25日 Nature 455, 7212 doi: 10.1038/nature07255 新生児のFc受容体(FcRn)は上皮細胞バリアを通過して母体IgGを輸送し、免疫系が十分に機能する前の胎児や新生児に、これによって液性免疫を提供する。新生ラットでは、FcRnは腸上皮細胞を通過する、頂端側から側底側へのトランスサイトーシスによって、IgGを乳汁から血液へ輸送する。FcRnはpH 6.0〜6.5ではIgGと結合するが、pH 7以上ではIgGと結合しないので、腸上皮の頂端側(pH 6.0〜6.5)と側底側(pH 7.4)のpHの差がIgGの効率的な一方向性輸送を促進する。乳汁が新生児の腸を通過するにつれて、母体IgGは近位小腸(十二指腸と空腸)でFcRn発現細胞によって取り除かれる。残りのタンパク質は遠位小腸(回腸)でFcRnを発現していない細胞によって吸収・分解される。今回我々は、電子線トモグラフィーを用いて空腸でのトランスサイトーシスを空間的、時間的に直接可視化し、ナノゴールド標識した個々のFcの輸送小胞中での位置を決定し、免疫標識によりこれらの小胞の特徴付けを同時に行うための新たな標識法と検出法を開発した。電子線トモグラフィーと非擾乱性のエンドサイトーシス用標識を組み合わせることによって、受容体に結合したリガンドの同定、相互接続する小胞の解像、小胞が微小管に結合するかどうかの決定、およびIgGのFcRn介在性輸送の正確な追跡が確証可能となる。我々の結果は、管や不規則な形の小胞が絡まり合った網目構造の中をFcが移動していくという複雑な状況を示しており、これらの小胞のうち一部のみが側底側表面に移動することから、微小管に結合しているのはその部分だけと考えられる。多胞体内部の小胞/細管が関与する輸送やクラスリン被覆ピットを通るエキソサイトーシスなどの、トランスサイトーシスの新たな特徴が明らかとなった。早期、後期、および再利用エンドソームのマーカーはそれぞれ、形態が異なる小胞を標識しているが、重複部分もあることから、エンドソーム/リソソーム輸送が空間的に複雑な過程であることが示される。 Full Text PDF 目次へ戻る