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生態:北極水域の漂泳生態系には炭素と栄養の間に直観に反した結合が存在する

Nature 455, 7211 doi: 10.1038/nature07235

全球炭素循環における海洋の役割を予測するには、生物地球化学的諸過程における炭素と増殖制限元素との間の化学量論的な結合を理解することが必要である。この種の知見として、CO2濃度の高い環境では、無機的消費の炭素/窒素比と溶存有機物質の放出が増加する可能性があることが、近年示されている。しかしこのことは、過剰の有機物が有光層内での無機化を免れる場合にのみ、大気中CO2に対して負のフィードバックをもたらすはずである。本論文では、北極水域の漂泳生態系という枠の中で、追加された分解性有機炭素のたどる運命と作用が微生物食物網の状態に決定的に依存するようになる仕組みを示す。細菌の増殖速度が無機養素によって制限された場合、系内には過剰の有機炭素が蓄積した。しかしながら、細菌の増殖速度が有機炭素によって制限されている場合には、分解可能な溶存有機炭素を追加すると、植物プランクトンのバイオマスと活動が低下し、全有機炭素の蓄積速度も低下した。このことは、無機養素をめぐる細菌の競争が促された結果として説明できる。この直観に反する「有機炭素が増えることで有機炭素が少なくなる」効果は、植物プランクトン生産における炭素/無機養素比の高い、珪藻類が優占する系においてとりわけ顕著であった。今回得られた結果は、海洋炭素循環の現在および将来の状態を記述するためには、独立栄養と従属栄養の両過程で、炭素と増殖を制限する無機養素との間の化学量論的な結合の詳細な理解がどのように必要であるかを示している。

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