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物性:Bi2Sr2CaCu2O8+δではモット絶縁体に近づくとクーパー対はどのように消失するのか

Nature 454, 7208 doi: 10.1038/nature07243

銅酸化物モット絶縁体の反強磁性基底状態は、実空間(r空間)において各銅原子に電子が局在化することによって生じる。これらの電子の一部を除去する(正孔ドーピング)ことによって、この系は、運動量空間(k空間)において非局在化したクーパー対の超伝導流体に変換される。この変換中、2種類の独特な電子励起が現れる。高エネルギーでは、不可解な「擬ギャップ」励起がみられる。これに対し低エネルギーでは、Bogoliubov準粒子、つまりクーパー対の破壊に起因する励起が存在するはずである。この変換を調べ、その2つの励起タイプを確認するために、我々は、Bi2Sr2CaCu2O8+δの電子構造を、r空間およびk空間において同時に画像化した。我々は、低エネルギー励起は実際にBogoliubov準粒子であるものの、正孔密度の減少とともに急速に収縮するk空間の限られた領域しか占有しないことを見いだしている。同時に、スペクトルウェイトは、非局在クーパー対からの励起の特徴を示さない高エネルギーr空間状態へと移行する。その代わり、これらの状態は、局所的に並進対称性および回転対称性を、原子スケールでエネルギーに依存せずに破る。我々は、これらの異常なr空間励起が、実は擬ギャップ状態であることを実証する。したがって、正孔密度を減らしてモット絶縁状態に近づけると、非局在クーパー対はk空間から消失し、r空間において局所的に並進対称性および回転対称性を破る擬ギャップ状態に置き換えられる。

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