Letter 生理:絶えず変化する環境中での代謝遺伝子の調節 2008年8月28日 Nature 454, 7208 doi: 10.1038/nature07211 自然選択は、細胞が絶え間なく変動する環境に対して、状況に応じたやり方で常に適応していくように働いている。このような環境の摂動に対する細胞応答には、遺伝子調節ネットワークがかかわることが多く、細胞の適応を解明するには、自然界での生息環境に似た動的環境に細胞を置けるような実験方法が必要となる。今回我々は、酵母(Saccharomyces cerevisiae)の代謝遺伝子の調節が外部炭素源の周期的変化にどのように応答するかを、環境条件の正確で動的な制御を可能にするマイクロ流体実験系を用いて観察した。そして代謝系が、ゆっくりと変化する環境には確実に応答する低域フィルターとして働き、急激なゆらぎは実際上無視することを明らかにする。この高感度の低振動数応答は、コンピューターによるモデル化で予測されるよりも大幅に速い。この不一致は、ガラクトース代謝系の2種類の主要な転写産物が炭素源に依存する半減期をもつことが発見されて、説明がついた。さらに、誘導特性が振動数応答にどのように影響するかを調べるため、酵母の2つの株について比較し、誘導特性に明らかな違いがあるにもかかわらず、振動数応答は同じであることを明らかにした。このことは、こうした複雑な代謝遺伝子調節ネットワークは、静的な環境で調べた場合にいくつかの性質が異なっている可能性はあるが、絶え間なく変動する環境に対してロバストな応答がとれるように最適化されていることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る