Letter 物理:単一分子量子ドットの量子相転移 2008年5月29日 Nature 453, 7195 doi: 10.1038/nature06930 多粒子系の波動関数が、競合する2種類の異なる基底状態の間を連続的に行き来するようにすると、量子力学の法則で量子臨界性と呼ばれる興味ある可能性が生じる。この現象は、絶対零度の磁気相転移と関連付けられることが多く、重いフェルミオン化合物や高温超伝導体など強相関電子系の魅力ある性質の多くを支配すると考えられている。極めて複雑な電子構造をもつバルク物質とは異なり、人工的なナノスケール素子は、量子相転移を解明するより単純な新しい手段となると考えられる。本論文では、単一分子量子ドットでこの可能性を実証する。この量子ドットでは、ゲート電圧によって零磁場中で2種類の電子スピン状態(一重項と三重項)の交差が引き起こされる。量子ドットは、電子スピンが金属電極によって部分的に遮蔽される近藤領域において作動させる。量子ドットと金属接触とのこの強い電子結合から、量子臨界現象を観測するのに必要な強い電子相関が得られる。2種類の異なる近藤領域間の量子磁気相転移はゲート電圧の調整により引き起こされ、この転移は半導体やナノチューブの量子ドットで過去に観測された近藤転移とは本質的に異なっている。我々の研究は、分子スピントロニクスに対する制御と調整可能性に新しい方向性を与えると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る