Letter 細胞:血管新生では、内皮細胞移動の制御にPI3Kのp110αアイソフォームが選択的に必要とされる 2008年5月29日 Nature 453, 7195 doi: 10.1038/nature06892 ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、多種類の細胞表面受容体の下流でシグナル伝達を行っている。PI3KのクラスIAアイソフォームはチロシンキナーゼと共役し、p110触媒サブユニット1個(p110α、p110β、p110δのいずれか)をもち、5種類のp85調節サブユニットの1つに構成的に結合する。PI3Kは血管形成にかかわるとされているが、PI3Kのアイソフォーム選択性の有無や、in vivoでの血管新生の際の内皮細胞での働きについては、ほとんど解明されていない。本論文では、血管の発生に不可欠なのはp110αの活性だけであることを示す。p110αを胚全体にわたって、あるいは内皮細胞特異的に不活性化すると、血管の出芽とリモデリングに重篤な異常が生じるために、発生中期に胚が死亡する。p110αは、低分子GTPアーゼRhoAを介して内皮細胞の移動を調節することにより、この重要な内皮細胞自律的機能を発揮する。p110αの活性は内皮細胞で特に高く、また、チロシンキナーゼのリガンド(血管内皮増殖因子(VEGF)-Aなど)によって選択的に誘導される。これに対して、内皮細胞中のp110βは、SDF-1αなどのGタンパク質共役受容体(GPCR)リガンドの下流へシグナルを伝達する。また、p110δは内皮細胞では発現レベルが低く、PI3K活性に占める割合はわずかである。これらの結果は、血管新生の際の内皮細胞PI3Kシグナル伝達系にp110アイソフォームが選択的にかかわっていることを示した、in vivoでの初めての証拠である。 Full Text PDF 目次へ戻る