Letter 医学:インフルエンザウイルスに対する高親和性ヒトモノクローナル抗体の迅速なクローニング 2008年5月29日 Nature 453, 7195 doi: 10.1038/nature06890 既存の中和抗体は一般に、病原体に対する防御の最前線として働く。インフルエンザウイルスの場合、毎年ワクチン接種をすることで、現在流行しているウイルス株に対する予防レベルを維持できる。本論文では、追加ワクチンを接種後、インフルエンザウイルス特異的なIgG陽性の抗体分泌形質細胞(ASC)の急速で強力な応答が出現したことを報告する。この応答はおよそ7日目に最大となり、末梢血B細胞の最高6%にみられた。これらのASCは、インフルエンザウイルス特異的なIgG陽性のメモリーB細胞とは異なるものであった。この記憶B細胞はワクチン接種後14〜21日でピークとなり、平均してB細胞全体の1%の割合を占めた。重要なことに、応答のピーク時に分離されたASCの80%がインフルエンザウイルス特異的であった。このASC応答の特徴は、B細胞受容体(BCR)のレパートリーが非常に限られていることであり、一部のドナーではごく少数のB細胞クローンによって占有されていた。しかし、この少数クローンの応答では、蓄積された体細胞性変異による、広範なクローン内多様化がみられた。我々は、より分けた単一ASCから単離した免疫グロブリン可変領域を用い、3つのインフルエンザワクチン株に高い親和性で結合する50以上のヒトモノクローナル抗体(mAb)を作製した。この方法は、ワクチン接種後1カ月以内にヒト由来の高親和性mAbを多数作製することが可能であることを示している。この一群のインフルエンザウイルス特異的なヒトmAbを使うことで、抗原原罪(original antigenic sin;OAS)の問題を解決することができた。OASとは、誘導された抗体がワクチン内に存在するウイルス株に比べて、以前に感染したインフルエンザウイルス株の方により高い親和性を示すという現象である。しかし、インフルエンザウイルス特異的なmAbのほとんどが、現在のワクチン株に対して最も高い親和性と示すことがわかった。したがって、OASはインフルエンザワクチン接種を受けている健常な成人に一般にみられる現象ではないようである。 Full Text PDF 目次へ戻る