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細胞:HP1-βの可動化がクロマチンの変化を促進し、DNA損傷応答を開始させる

Nature 453, 7195 doi: 10.1038/nature06875

DNA損傷の数分後には、ATM、ATR、DNA-PKといったホスホイノシチドキナーゼファミリーのプロテインキナーゼが変異型ヒストンH2AXをリン酸化する。リン酸化(γ)-H2AXには、DNA切断の存在感知、あるいはその情報の伝達を行う分子を引き寄せて修復に向けた応答を活性化する働きがあり、染色体DNAの損傷の最も早い段階でのマーカーとして知られる。今回我々は、哺乳類細胞で、H2AXのリン酸化を促すクロマチンの動的変化を明らかにする。DNA切断が起こると、速やかにヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)-β(CBX1とも呼ばれる)が動員される。このHP1-βはクロマチン因子で、リシン9がメチル化されたヒストンH3(H3K9me)に結合している。ヒストン尾部修飾には、局所的な変化はみられない。その代わり、HP1-βのアミノ酸Thr 51のリン酸化に伴って、そのクロモドメインをH3K9me近くに引きつけていた水素結合が破壊され、HP1-βは動けるようになって遊離する。DNA損傷の感知と修復にかかわるとされる酵素カゼインキナーゼ2(CK2)を生きた細胞で阻害すると、Thr 51のリン酸化とHP1-βの可動化が抑制される。CK2の阻害、あるいは構成的にクロマチンに結合するHP1-β変異体では、H2AXのリン酸化が起こらなくなる。今回の知見により、DNA損傷応答の誘導を助ける、これまで知られていなかったシグナル伝達カスケードが明らかになった。このカスケードは、ヒストンコード(ヒストンの修飾による暗号)自体ではなくて、ヒストンコードにかかわるタンパク質HP1を修飾することによって、クロマチンを変化させる。

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