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細胞:Pten欠損白血病幹細胞の形成には、複数の遺伝的事象が協同的に寄与している

Nature 453, 7194 doi: 10.1038/nature06933

がん幹細胞は正常な幹細胞と特性や調節機構の多くを共有するが、最近では、腫瘍形成やがんの治療抵抗性にも関与しているといわれている。がんの生物学研究の重要課題は、がん幹細胞を同定し、正常細胞をがん幹細胞へと形質転換するのに必要な事象を分子レベルで解明することである。今回我々は、マウスの造血幹細胞でPtenを欠失させると骨髄増殖性疾患が引き起こされ、続いて急性Tリンパ芽球性白血病(T-ALL)が発症することを明らかにする。自己複製能をもつ白血病幹細胞(LSC)はc-KitmidCD3+Lin区画中に多く存在するが、この区画ではリン酸化されていないβカテニンが著しく増加している。βカテニンの対立遺伝子1個を条件的に切除すると、Pten欠失を原因とするT-ALLの発生率が大きく低下し、発生が非常に遅くなった。このことから、LSC集団の形成や拡大に、βカテニン経路の活性化がかかわっていることが示唆される。また染色体転座T(14;15)が繰り返された結果、c-KitmidCD3+LinLSCおよびCD3+白血病性芽球では、がん遺伝子c-mycの過剰発現が起こり、ヒトT-ALLの一種が再現される。このモデルではNotch1シグナル伝達系に変化はみられないことから、Ptenの不活性化とc-mycの過剰発現が機能的にNotch1の異常の代わりを果たして、T-ALL発生につながると考えられる。今回の結果は、LSCの形質転換に、複数の遺伝的変化、分子変化が協同的に寄与することを示している。

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