Letter 化学:短距離引力をもつ粒子のゲル化 2008年5月22日 Nature 453, 7194 doi: 10.1038/nature06931 ナノスケール粒子またはコロイド粒子は、科学や技術の多くの領域で重要である。こうした粒子は材料の特性を顕著に変化させ、多様な複雑流体に固体のような挙動をもたらす。この挙動は、粒子が凝集してメゾスコピックなクラスターやネットワークを形成したときに発生する。凝集を引き起こすのに不可欠な要素は粒子間引力であり、この力は、多くの物理的化学的機構によって発生可能である。不可逆凝集の極限では、無限に強い粒子間結合によって拡散律速クラスター凝集(DLCA)が起こる。これは、任意の低い粒子体積分率において固体のようなゲルを形成しうる純粋に運動論的な現象として理解されている。しかし、技術的により重要なのは、引力がもっと弱く、ゲル形成にもっと高い体積分率を要する系である。ゲル化については、DLCA、運動学的または力学的停止、相分離、パーコレーション、ジャミングなど、数多くのシナリオが提案されてきた。ゲル化は広くみられる重要な現象であるにもかかわらず、一致した見解は得られておらず、解明には程遠い状況で、その相境界の位置についてすら意見が一致していない。今回我々は、等方的な短距離引力をもつ球状粒子のゲル化がスピノーダル分解によって始まることを示す実験について報告する。この熱力学的不安定性は、密度ゆらぎの生成を引き起こし、領域端まで延びたクラスター(spanning cluster)が生じて、これが力学的に停止してゲルを形成する。ゲル化のこの単純な描像は、系に特異的な微視的詳細条件に依存しないので、短距離引力をもつあらゆる粒子システムに幅広く適用されるはずである。ゲル化は純粋な運動学的現象と見なされることが多いが、今回の結果から、実際は液体-気体平衡相分離の直接的結果であることが示唆される。我々は、理論およびシミュレーションで相分離が起こると予測されたサンプルすべてで例外なくゲル化を観察している。このことは、引力をもつ球のモデルでのゲル化に対応するのはパーコレーションではなく、相分離であることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る