Letter 細胞:マウスの卵母細胞では、自然に形成されたdsRNA由来の内在性siRNAが転写産物を調節する 2008年5月22日 Nature 453, 7194 doi: 10.1038/nature06908 RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)が塩基配列依存的に特定の転写産物を抑制する仕組みである。dsRNAはダイサー(Dicer)という酵素によって21〜24ヌクレオチドの低分子干渉RNA(siRNA)へと加工され、アルゴノート(Ago)タンパク質へと取り込まれる。これまでに内在性siRNAによる遺伝子の調節が観察されたのは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)をもつ生物だけである。哺乳類ではRdRP活性が見つかっておらず、内在性siRNAが生合成され、機能しているかどうかほとんどわかっていなかった。今回我々はマウスの卵母細胞を使って、自然に形成されたdsRNAから内在性siRNAが生じ、遺伝子発現を調節することを明らかにした。deep sequencing技術を用いることにより、成長中の卵母細胞で、メッセンジャーRNAやレトロトランスポゾンに対応する長さ25〜27ヌクレオチドのPiwi結合RNA(piRNA)と長さ〜21ヌクレオチドのsiRNAを多数同定した。piRNAはMiliに結合してレトロトランスポゾンの調節にかかわる。siRNAは、レトロトランスポゾンやdsRNA構造を形成しうる転写産物を作るゲノム領域に集中して存在した。このようなdsRNA構造は、逆方向反復配列、両方向転写部位、さまざまな遺伝子座に由来するアンチセンス転写産物から生じる。siRNAの前駆体となる転写産物の一部は偽遺伝子から作られたもので、偽遺伝子の役割の1つは、偽遺伝子の起源となった遺伝子のmRNAレベルのRNA干渉を介した調節であることが示唆される。ダイサーやAgo2を欠失すると、siRNA量が減少し、siRNAに相補的なレトロトランスポゾンやタンパク質をコードする転写産物が増加する。このようにマウスの卵母細胞では、RNA干渉経路がタンパク質をコードする転写産物とレトロトランスポゾンの両方を調節している。今回の結果により、哺乳類卵母細胞での内在性siRNAの役割が明らかになり、RdRP活性をもたない生物でも自然に生じるdsRNAから機能をもった内在性siRNAが作れることがわかった。 Full Text PDF 目次へ戻る