Letter 細胞:ヒト心血管前駆細胞はKDR+胚性幹細胞に由来する細胞集団から発生する 2008年5月22日 Nature 453, 7194 doi: 10.1038/nature06894 機能する心臓は、心筋細胞、内皮細胞、血管平滑筋細胞などの中胚葉由来の異なる細胞系列によって構成される。マウス胚およびマウス胚性幹細胞を用いた分化モデルの研究から、これらの3つの系列は、共通するFlk-1+(キナーゼ挿入ドメインタンパク質受容体、Kdrとしても知られる)心血管前駆細胞から発生するという証拠が得られている。Flk-1+心血管前駆細胞は、中胚葉細胞の心血管系列への運命決定における最初期の段階の1つにあたるものである。我々は、ヒトの心臓発生時にもこれに相当する前駆細胞が存在するかどうかを明らかにするために、ヒトの胚性幹細胞分化培養系で心血管系列の発生について検討した。本論文では、無血清培地にアクチビンA、骨形成タンパク質4(BMP4)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF、FGF2としても知られる)、血管内皮増殖因子(VEGF、VEGFAとしても知られる)、dickkopfホモログ1(DKK1)を組み合わせて誘導した後、ヒトの胚性幹細胞由来胚様体が、KDRlow/C-KIT(CD117)neg細胞集団を生成することを示す。この集団はin vivoでの移植後およびin vitroで、心臓、内皮、および血管平滑筋に分化する能力をもつ。KDRlow/C-KITneg細胞を単層培養すると、分化して収縮能をもつ心筋細胞が50%以上を占める細胞集団を形成する。KDRlow/C-KITneg分画に由来する細胞集団のメチルセルロース培養では、3つの系列をすべて含むコロニーが生じる。限界希釈法による測定並びに混合培養実験により、これらのコロニーはクローンと解釈できることから、これらの細胞は心血管コロニー形成細胞から発生すると考えられる。以上を総合すると、今回の知見からヒトの心臓発生の最初期段階の1つを示すヒト心血管前駆細胞が同定された。 Full Text PDF 目次へ戻る