Letter

海洋:始新世/漸新世境界における海洋の脱酸性化と海水準低下による南極の氷河作用との結びつき

Nature 452, 7190 doi: 10.1038/nature06853

過去1億年間に地球システムを最も激しく不安定化したものの1つは、始新世/漸新世境界(約3,400万年前)近傍での南極氷河作用の急激な開始である。この気候遷移に伴って、方解石補償深度、つまり表層水域からの炭酸カルシウムの流入速度と分解速度が等しい大洋深度が深くなった。南極の氷河作用の根本原因は、大陸構成の変化ではなく全球炭素サイクルの変化である可能性が最も大きいと最近は考えられているが、氷河作用と方解石補償深度が深くなったことを結びつける機構はわかっていない。本論文では、全球の生物地球化学ボックスモデルを用いて、始新世/漸新世境界の気候遷移を説明するために提唱されている対立する仮説を検証する。候補となる諸仮説のうち、大陸棚から深海への炭酸塩の分離だけが、海底の炭素同位体組成と炭酸カルシウムの蓄積量の両方にみられる変化を説明できることがわかった。今回のシミュレーション結果では、南極氷床の成長に伴う氷河性海面変動による海水準の低下によって、大陸棚上の全球炭酸カルシウム蓄積量が恒久的に減少し、方解石補償深度が恒久的に深くなることで外洋での埋没が増加した。同時に、新しい石灰岩が侵食にさらされ、その結果、溶存炭酸塩の全球河川流入量が一時的に増加し、海水のδ13Cが増加した。この研究は、新世代でおそらく最も重要な気候遷移期における、氷河作用と海洋の酸性度の変化を結びつける機構を新たにはっきりさせるものである。

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