Letter 環境:キクイムシと気候変動への森林炭素のフィードバック 2008年4月24日 Nature 452, 7190 doi: 10.1038/nature06777 甲虫目ゾウムシ科キクイムシ亜科のDendroctonus ponderosae Hopkinsは、北アメリカ西部の松林の昆虫在来種で、周期的に大発生する。大発生の際には、樹木が大規模に枯死して森林による炭素の取り込み量が低下し、その後に枯れ木の腐朽で炭素の放出量が増大する。しかし、大規模なモデリング解析では通常、森林の炭素動態に対する昆虫の影響が無視されている。カナダのブリティッシュコロンビア州で現在起こっている大発生は、面積および深刻さの点で、これまで記録に残されているすべての大発生の10倍規模である。本論文で我々は、このキクイムシの大発生が被害地域で2000〜2020年の間に及ぼす影響を積算すると、炭素270メガトン(森林374,000 km2で平均して炭素36 g/m2・年)になると推定する。その影響により、この森林は、大発生の最中および直後には、小さな正味の炭素シンクから大きな正味の炭素源に転化した。最悪の年には、ブリティッシュコロンビア州での大発生による影響が、カナダ全土の森林火災による直接的な炭素放出量の年間平均値(1959〜1999年)のおよそ75%に相当した。それによる正味の一次生産の減少量は、地球規模変動の結果として1980〜1990年代に観察された一次生産の増加量に匹敵した。気候変動は、このキクイムシ大発生がかつてない規模と深刻さに至った一因である。昆虫のこうした大発生は、北部の森林が大気中の炭素を取り込んで蓄積する能力を気候変動が弱める重要な機構の1つであり、大規模なモデリング解析ではこうした影響を考慮に入れるべきである。 Full Text PDF 目次へ戻る