常染色体優性遺伝を示す高IgE症候群(HIES、別名ヨブ症候群)は、再発性でしばしば重症を呈する肺感染症、気瘤、湿疹、ブドウ球菌性膿瘍、粘膜皮膚カンジダ症、骨・結合組織の異常を特徴とする。HIESの原因と考えられる変異がSTAT3(signal transducer and activator of transcription 3)をコードするstat3遺伝子で最近同定された。T細胞によるインターフェロン-γや腫瘍壊死因子(TNF)の産生障害、記憶T細胞数の減少、遅延型過敏反応の低下、特異抗原に対するin vitroでのリンパ球増殖能の低下などさまざまな記載がなされているが、HIESでみられる特定の感染に対する独特な感受性を説明できる明確な免疫学的異常はまだ明らかにされていない。本論文で我々は、HIESの患者ではT細胞によるインターロイキン(IL)-17の産生が認められないことを示す。HIESの患者から取り出したex vivo T細胞は、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンBによる分裂促進刺激やCandida albicansあるいはストレプトキナーゼによる抗原刺激を受けてもIL-17を産生しなかったが、IL-2、TNF、およびインターフェロン-γは産生した。単離したナイーブT細胞はin vitroでIL-17産生性ヘルパーT細胞(TH17細胞)へ分化できず、またレチノイド関連オーファン受容体(ROR)-γtの発現が低下していた。このことは、TH17細胞の発生にSTAT3を介するシグナル伝達が重要であることと一致する。TH17細胞はヘルパーT細胞に属する重要な集団であることが明らかになっており、真菌感染や細胞外細菌感染の終息に極めて重要であると考えられている。したがって我々の結果は、TH17細胞を産生できないことがHIESによくみられる再発性感染に対する感受性のメカニズムの1つであることを示唆している。