Letter 構造生物学:細胞膜プロトンポンプの結晶構造 2007年12月13日 Nature 450, 7172 doi: 10.1038/nature06417 生体膜内外の電気化学的不均衡を維持する能力は生命にとって必須である。すべての真核生物において、細胞膜の電位と2次輸送系はP型ATPアーゼ膜タンパク質、すなわち植物と菌類ではH+-ATPアーゼ(プロトンポンプ)、動物ではNa+,K+-ATPアーゼ(ナトリウム-カリウムポンプ)の活動からエネルギーを得ている。P型という名前は、これらのタンパク質がATP加水分解のリン酸化反応サイクル中間体を利用することに由来する。細胞膜プロトンポンプはタイプIII P型ATPアーゼサブファミリーに属し、Na+,K+-ATPアーゼとCa2+-ATPアーゼはタイプIIである。電子顕微鏡によりプロトンポンプの全体の形は明らかになっているが、原子構造はこれまで得られていなかった。今回我々は、X線結晶法によって決定されたP型プロトンポンプの構造を初めて示す。10個の膜貫通へリックスと3個の細胞質ドメインが、膜を通してATP共役プロトン輸送を行う機能ユニットを構成している。この構造は、P型ATPアーゼではこれまでに観察されたことのない機能状態に固定されている。膜貫通ドメインには水で満たされると思われる大きな空洞があり、この空洞は膜平面の中ほどに位置し、保存された疎水性残基と荷電残基で囲まれている。高い膜電位に逆らうプロトン輸送は、この構造配置から容易に説明される。 Full Text PDF 目次へ戻る