Letter 進化:ウイルスとの共進化が、細菌の変異率の進化を推進する 2007年12月13日 Nature 450, 7172 doi: 10.1038/nature06350 突然変異率が非常に高くなった細菌(ミューテーター)は自然界でも実験室でもしばしばみられ、臨床感染にかかわることが多い。ミューテーターは新しい環境条件への適応力が増す可能性があるが、有害変異も蓄積しやすくなる。したがって、細菌での高い突然変異率が長期にわたって維持されるのは、点突然変異によるミューテーターから非ミューテーターへの移行が遅いと考えられることに加えて、選択圧の急激な変化が推進力となっている可能性が高い。選択圧の急激な変化の原因として最も有力なものの1つが、寄生生物との競争的共進化である。今回我々は、ウイルスという寄生生物との共進化が実験室における細菌集団の突然変異率の進化を推進するかどうかを、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)で調べた。ファージと共進化している細菌集団の25%は、ミスマッチ修復系の遺伝子に生じた変異のために、200世代まで経過しないうちに変異率が10から100倍に上昇する。一方、ファージなしに進化している細菌集団では、変異率の有意の変化はみられなかった。さらに、ミューテーター集団の方がファージ集団の絶滅を促進する確率が高かったことからも、共進化の軍拡競争ではミューテーターの方がファージ集団に対して有利であることが強く示唆される。バクテリオファージは非常に広く存在することを考えると、細菌の変異率の進化にはこれが重要な役割を果たしている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る