Letter

生化学:抗生物質組み立て工程で縮合触媒として働くトランスグルタミナーゼ相同体

Nature 448, 7155 doi: 10.1038/nature06068

抗生物質耐性をもつ病原性細菌の勢いの落ちることのない出現により、新たな作用様式を有する抗生物質の研究が求められている。擬ペプチド抗生物質であるアンドリミド(andrimid)は、原核生物の脂肪酸生合成の最初のステップを触媒する細菌アセチルCoAカルボキシラーゼをナノモル濃度で阻害する。最近、アンドリミド(adm)生合成遺伝子クラスターが単離され、大腸菌で異種的な発現が行われた。これによって異種生物の宿主が確立され、この宿主中でアンドリミド生合成の性質を迅速に探り出し、この重要かつ有望な新種抗生物質の自然界には存在しない変異型を作るのに生合成工学技術が使えるようになった。admクラスターのバイオインフォマティクスの手法による解析から、最初の3つのキャリアタンパク質ドメインの間に標準的なアミド合成酵素が欠損している分離した生合成組み立てシステムであることがわかった。今回我々は、トランスグルタミナーゼ(TGase)の相同体であるAdmFが、アンドリミド生合成における最初のアミド結合形成である、N-アシル-β-ペプチドリンクの形成を触媒することを報告する。したがって、AdmFは新たに発見された生合成酵素であり、抗生物質の酵素による組み立て工程で、タンパク質に結合しチオテンプレート機構によって形成された基質間で独立型のアミド合成酵素として働く。TGase(enzyme class (EC)2.3.2.13)は通常、タンパク質のグルタミン側鎖のγ-カルボキシアミド基とリシン側鎖を含めた種々のアミン供与体間でイソペプチド結合を形成することによる(ポリ)ペプチドの架橋を触媒する。我々が知るかぎりでは、今回の研究は、抗生物質組み立てに用いられるTGase様酵素に関する初めての報告である。さらに、AdmF配列を用いたゲノムマイニングにより、まだ特定されていない天然物質の生合成経路で複数のTGaseがさらに見いだされた。もっと多くの微生物のゲノム配列が解読されれば、このような戦略によって新しい種類の抗生物質を作り出す生合成経路が発掘される可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度