Letter 細胞:切断によって誘導される複製とテロメラーゼ非依存的テロメア維持にはPol32が必要である 2007年8月16日 Nature 448, 7155 doi: 10.1038/nature06047 切断によって誘導される複製(break-induced replication:BIR)は、染色体の二本鎖切断部の一方の末端だけが鋳型と相同性をもつときにDNA複製を開始する、効率のよい相同的組み換え過程である。BIRは停止した複製フォークや壊れた複製フォークで複製を再開させ、「代替テロメア維持機構」とよばれる経路において、テロメラーゼをもたない細胞の短縮しつつあるテロメアに作用すると考えられている。今回我々は、一倍体の出芽酵母において、HOエンドヌクレアーゼによって誘導されるRad-51依存性BIRが新しいDNA合成を開始するには、ラギング鎖のDNA Polα-プライマーゼ複合体とPolδの両方が必要であることを明らかにする。PolεはBIRの最初のプライマー伸長段階には必要ないが、30 kbの新しいDNA合成を完了するためには必要である。BIRの開始には、DNA Polδの非必須サブユニットPol32も必要で、それは主として別のPolδサブユニットPol31と相互作用するからである。HOが引き起こす遺伝子変換では、二本鎖切断の両末端が相同的組み換えにかかわるが、その場合、Pol32は必要ない。またテロメラーゼをもたない酵母株では、Rad51に依存する、しないにかかわらず、生存にPol32が必要である。これらの結果から、2種類のテロメア維持経路のどちらも、組み換えに依存したDNA複製によって起こっていることが強く示唆される。したがってPol32は、複製と遺伝子変換には必須ではないが、BIRには必要である。今回の知見は、真核生物のDNA複製を再開する仕組みの解明への糸口となる。また、分裂酵母や後生動物でもPol32のホモログが同定されており、このような生物では代替テロメア維持機構によってテロメラーゼに依存しないで生存できる例が見つかっている。 Full Text PDF 目次へ戻る