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脳:重篤な脳外傷後の視床刺激による行動能力改善

Nature 448, 7153 doi: 10.1038/nature06041

脳に重い外傷を受けたのちに会話や目標指向行動を支える機構が機能しなくなるのは、大脳内神経結合の広汎な喪失が原因と考えられる。一般に、脳に重篤な外傷を受けてから12カ月以上継続した意識障害はもはや不変と考えられ、そのような症例で回復が促進されたり、機能的転帰が向上したりするという治療法は知られていない。しかし最近の研究で、最小意識状態(MCS、自己や環境に対する意識の兆候が断続的にみられる状態)の患者で、大規模な大脳神経ネットワークが予想外に保存されている場合のあることが示されている。こうした知見は、一部の患者には治療的介入で支援できる機能的潜在能力が残されている可能性を示している。我々は、MCS状態の患者の一部でそれ以上の回復が進まないのは、動員できる可能性のある大規模ネットワークが長期に低活動状態にあるためであるという仮説を提唱する。今回、6カ月間の二重盲検交互クロスオーバー試験実験で、視床中部の両側性深部脳電気刺激(DBS)により、外傷後介入まで6年間MCS状態だった1人の患者で、行動応答に変化が起きたことを示す。特定の認知関連行動の頻度(一次転帰の指標)と、四肢の機能制御や経口的食物摂取(二次転帰の指標)は、DBS適用期間内の方が不適用期間に比べて増加した。ロジスティック回帰モデルで、観察された機能改善と直近の刺激履歴との間に統計的連関が示される。このDBSの効果は、無傷脳では通常、前頭葉によって制御されている覚醒調節が喪失しているのをDBSが代償したためと解釈できる。これらの知見は、DBSによって、重篤な脳外傷の顕著な遅れた機能回復を促進できるという証拠を提供する。受傷後数年が経過した患者における今回の結果は、相互的な行動をまれにしか示さない患者に対しては早期に治療を中止するというこれまでの方針に疑問を呈すとともに、治療的介入手段の開発のためのさらなる研究の動機となるものである。

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