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物性:室温における単一グラフェン層内の電子スピン輸送とスピン歳差運動

Nature 448, 7153 doi: 10.1038/nature06037

現在、単層または数層のグラフェンにおける電子輸送は大いに注目を集めている。特異なバレー構造や正孔状態と電子状態を分けるディラック中性点をもつグラフェンの独特なバンド構造が、例えば異常量子ホール効果、弱局在の不在、最小伝導度の存在といった新しい電子輸送現象の観察につながった。散逸的輸送に加え、超伝導電流輸送も観察されている。また、グラフェンは、弱い固有スピン軌道相互作用や電子スピンと炭素原子核との弱い超微細相互作用のため、スピンキュービットの実現などスピントロニクス関連の応用に有望な材料となる可能性がある。今回我々は、単一グラフェン層におけるマイクロメートルスケールの距離にわたるスピン輸送とラーモアスピン歳差運動の観察について報告する。これらの実験では「非局所」スピンバルブ構造を用い、薄い酸化物層を介してグラフェンシートと接触させた強磁性コバルト電極を有する4端子接点構成を採用した。4つの電極すべての磁化方向を反映する明確な両極性の(符号が正から負へと変化する)スピン信号が観察された。これは、スピンコヒーレンスが全接点の下にまで伸びていることを示している。4.2 K、77 K、室温で観測されたスピン信号の間には有意な変化は生じていない。電荷密度に弱くしか依存しない1.5〜2 μmのスピン緩和長が室温で得られる。その強磁性接点のスピン分極は約10パーセントであることが測定結果から計算された。

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