Letter 細胞:共通のエフェクター処理が刺激に対する細胞特異応答を仲介する 2007年8月2日 Nature 448, 7153 doi: 10.1038/nature06001 多くのシグナル伝達経路の基礎となる構成要素は、すべての細胞で共通している。しかしながら、細胞内ネットワークを刺激したり、かく乱したりすると、所定の細胞に特異的な独特の表現型が生じることが多い。この「細胞特異性」は、細胞内ネットワークが細胞の挙動を制御する仕組みを理解する上での難問となっており、またシグナル伝達異常の治療薬を開発する際の障害ともなっている。本論文では、システムモデル化の方法を使って、細胞特異的シグナル伝達がエフェクタータンパク質を介して統合され、細胞特異的な結果をもたらす仕組みを調べる。我々は、腫瘍壊死因子と、細胞特異的な応答を誘導する治療刺激に相当するアデノウイルスベクターとの相乗作用に注目した。キナーゼシグナル伝達が基質であるエフェクターを介して処理され表現型を生じる仕組みを推定するモデルの構築により、異なったタイプの細胞が共通の「エフェクター-処理」機構を共有するときに細胞特異性の正確な予測が可能となることがわかった。共通のエフェクター処理に基づく、部分的最小2乗法による回帰モデルで、さまざまな上皮細胞株における細胞特異的アポトーシス、ケモカイン放出、遺伝子誘導、薬物感受性が正確に予測される。我々は、細胞特異性はキナーゼやその他の上流のトランスデューサーの差異的な活性化に由来しており、これらが合わさって異なったタイプの細胞が共通のエフェクターを使って多様な結果を生み出すことを可能にしていると結論する。下流のエフェクターがネットワークシグナルを共通に処理することは、重要な細胞生物学的原則であると考えられ、標的を定めた薬物治療に対する細胞特異的応答を理解する際に適用できる。 Full Text PDF 目次へ戻る