Letter 進化:単一遺伝子に起きた複数のシス調節変異による形態的進化 2007年8月2日 Nature 448, 7153 doi: 10.1038/nature05988 進化生物学における未解決だが中心的な課題の1つは、種内で分離した遺伝的多型と、種間での形態的な相違の原因の関係である。古典的なネオダーウィニズム的観点からは、種の違いは複数の遺伝子座に影響の小さい変化が蓄積することによって生じると考えられる。しかしながら、形態的進化には発生関連遺伝子の発現におけるより大きく急激な変化が関与している可能性を支持する事例も多い。こうした証拠は、ネオダーウィニズムの進化に関する小突然変異説的な見方にとって難問と考えられそうだが、実際に種間での形態的差異を引き起こす遺伝子の例はこれまでのところあまりない。今回我々は、ショウジョウバエ属(Drosophila)の種間での、毛状突起(trichome)の1つのパターンの遺伝的基盤について調べた。このパターンは、おそらくシス調節の変化を介した単一遺伝子shavenbaby(svb)の進化によることが既に明らかにされている。我々はまず、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)から3つの異なるsvbエンハンサー領域を同定した。これら3つのエンハンサーが誘導するレポーター遺伝子の発現パターンは一部が重複しているが、それらを合わせると内在性のsvbの発現を再現できる。セーシェルショウジョウバエ(D. sechellia)の3つの相同なエンハンサーはいずれも、進化したsvb発現パターンと一致する方向に変化した発現パターンを示した。実際の表現型の違いに対するこれらのエンハンサーの影響を調べるために、複数の遺伝子内組み換え体を回収するのに十分な解像度で種間での遺伝学的マッピングを行った。この機能解析からは、同定された3つのエンハンサーと重なり合うsvb上流の独立した遺伝学的領域が、セーシェルショウジョウバエの毛状突起パターンを生み出すのに一括して必要であることが示される。我々の結果は、単一遺伝子座における影響の小さい複数の変化の蓄積が、種間での形態的差異の進化の根底にあることを実証している。これらのデータは、種を分ける大きな影響をもつ対立遺伝子が時として、影響の小さい複数の変異がある特定の遺伝子に蓄積したことを反映している可能性があるとする見方を裏付けるものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る