Letter 工学:流体中での生体分子、単一細胞、単一ナノ粒子の質量測定 2007年4月26日 Nature 446, 7139 doi: 10.1038/nature05741 ナノ機械共鳴器を用いると、極めて高い感度で質量を測定できる。これまでに、真空中で7ゼプトグラム(1zg=10−21g)という軽さの試料の質量が測定されており、陽子レベルの分解能も射程に入ってきた。わずかな質量変化をとらえるには、共鳴器が軽く、非常な純音で共鳴する(すなわち高いQ値[quality factor]をもつ)必要がある。溶液中では粘性によりこれら2つの特徴が著しく損なわれるため、流体を必要とする分野であるナノ技術や生命科学での応用は進んでいない。粘性損失を最小化する共鳴器構造の設計は可能だが、それでも空気中や真空中での測定に比べると分解能はかなり低い。これとは全く別の方法として、真空に囲まれた中空の共鳴器の内部に溶液を入れることで粘性減衰を防ぐものがある。今回我々は、端で支えたマイクロチャネル共鳴器を用い、水中の1個のナノ粒子、1個の細菌細胞、単層以下の吸着タンパク質の質量を、フェムトグラム以下の分解能(バンド幅1 Hz)で測定できたことを示す。これらの結果で重要なのは、我々の測定では、流体による粘性損失が我々のシリコン結晶共鳴器の固有減衰に比べて無視できるほど小さいことである。共鳴器の低い質量(100 ng)と高いQ値(15,000)の組み合わせにより、質量分解能は市販の最高級水晶微小天秤より6桁も向上した。これにより、質量に基づくフローサイトメトリー、病原体の直接検出、コロイド粒子の非光学的サイズ測定や質量密度測定といった応用への道が開ける。 Full Text PDF 目次へ戻る